会社人間？シニアコラム

2024年 4月 03日
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　世の中に、私は会社人間ではない、と思っている人は多いと思います。いや、

絶対に多いはずです。

会社に対して特別な思い入れがあるでも無く、会社から言われるままに、忠誠心の

塊になって働いているのでもない。そういう人たちのことで、私のことでした。

 

　お客様のところを訪問して仕事をいただき、会社に戻って見積を作成し提出して契約。

物や人を手配して予定日が来たなら実行、請求書を作成・提出してお金をいただく。

一度この自発的(と思ってしまう)サイクルに乗ると、「会社」は消え失せる。

お客様の頭の中からも、実際に仕事をする自分の頭の中からも……。

 

休日は勿論、真夜中であろうが、吹雪で前が見えなかろうが関係なく、電話があれば

車を運転して駆け付ける。それはお客様と自分との信頼関係であり、会社には関係がない。

従って、私は会社人間とは違う！　と、思っていました。

 

そんな忙しい日々を送っていた1998年頃、仕事から解放される時間も増え、体力的にも

余裕が出て来ました。そうなると、胸の中、心の中に、虚しさとも違うけれどもポッカリと

塞ぎようのない大きな穴が開いた感覚に襲われることが多くなり、……というのであれば

格好が良いのですが、そこは男女6人兄弟の末っ子の感受性の低さで「何かやることないかな」

と思っただけでした。

 

趣味と言っても以前から特に何かに凝る事もなかったので、やることも無し。

これが会社人間の行く末です！　と悲観もしませんでしたが、暇を持て余しました。

 

そんなある日、書店に行って、たまたま手に取ったのが山の本でした。それまでにも何度か

登山に行くことはあったので、早速、札幌市南区にある無意根山(むいねやま)に登りました。

最初はカメラも持たずに行っていましたが、「登ったかどうか分からない」と言われ、

それ以降、65歳過ぎまで、多い時には月に2回、カメラ持参で山に行くようになって、

めでたく会社人間から脱出することが出来ました。

 

しかし、膝痛で山に行けなくなると再び時間が余り、70歳を過ぎるまで会社に行くことに

なって、結局、私の人生は会社と共にあった、のではないでしょうか。

永山岳の麓、銀明水下のチングルマ

（筆者は「コーポ」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています）