地域性 シニアコラム
2024年 4月 03日日本地図を眺めてみると、ほとんどが沖縄か北海道が本州の横に別枠で記載されています。
何かの文章に挿入された、日本列島の形が分かればよい、といった程度のものは別にして、
「地図」そのものとしてある場合には、必ずどちらかが別枠に入っていて、紙面の大きさと
説明内容によって縮尺が変わっています。
テレビの全国ニュースの天気予報では、別枠は沖縄の事が多いのですが、予報の順序は、
東京、その次が沖縄で、順次北へ向かうように思います。
東京は、日本の首都であるからトップなのは分かりますが、次が沖縄地方に飛ぶというのは、
桜前線の関係でしょうか。それなら、冬将軍の季節は二番目は北海道になりそうですが……。
この話しは放送局に聞いてみると簡単に分かりそうですが、分ったところで有益な知識になる
とも思えないので未だに尋ねておりません。興味のある方は訊いてみてください。
地図別枠の話はさておいて、日本列島の南と北では明らかに時間、歴史の長さが違っています。
沖縄は、かつて琉球王朝と言われた独立国家で、九州や四国、本州についても、場所は
特定されていませんが、千八百年ほど昔にあった、女王卑弥呼を頂点とした邪馬台国から
始まる古い歴史があります。
本州ではさらに、西日本では姓(名字)の種類が多いのに対し、東日本、特に東北地方では種類が
少なくなり、特定の種類に集中していると「森岡浩著 あなたの知らない北海道・東北地方の
苗字の秘密」に書かれています。
これは、人口の多寡があって、西日本の多いところから少ない地方への人口移動があったからでしょう。
長い歴史のある地方や地域では、士族や華族、旧家や名家など、その地域を代表する有力者が存在します。
恐らくそれら有力者は、社会的動物である人間が長い時間を過ごす間に、自然発生的に誕生したものでしょう。
その点、アイヌの人々を除くと、人口の大多数が明治期以降の移民である北海道では、
ごく少数の例外を除いて、名家と言われる家系は無く、もち論旧家はありません。
北海道開拓の初期は、寒冷による不作、熊や狼による襲撃、バッタによる食害など、様々な困難
に遭遇しましたが、それを乗り越えたのは旧家、名家による統合力ではなく、困難に直面した人
たちの結束力、団結力でした。
そういった困難にある者同士の「互いに助け合う」精神が継続しているせいか、北海道では
冠婚葬祭に会費制が一般的で、結婚式は、「招待」や「お呼ばれ」ではなく会費制です。
役職や立場に関係なく出席者からは一律の会費徴収で、結婚する本人との関係の濃淡によって
「お祝い」や「ご祝儀」を出します。この「お互いさま」精神は、合理的と言うべきでしょう。
話しは婚から葬に飛びますが、北海道では、葬儀に参列できず知人や同僚に香典を依頼した
場合、会場で領収書も発行してくれます。受付から「領収書は全員の分必要でしょうか?」
などと訊かれます。これは他の土地ではあまり聞きませんし、くださいと言っても
「できません」と言われることがほとんどです。
(筆者は「コーポ」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)